シーケンス
2014-12-24 by Beige Shiba Inu
イメージを複数配列することで時間の経過を表現し、物語を肉付け・ふくらませます。
シーケンス(sequence)。もしくはシークエンスともいいます。
意味は、「連続」や「順序」。
映画やドラマを語る際によく使われている単語ですね。
カット/ショット(断片)のまとまりがシーン(場面)、シーンのまとまりがシーケンス(局面)。
筆者は、映画『カールじいさんの空飛ぶ家』の
冒頭10分のシーケンスを観るたびに毎回ボロ泣きしますが
あれがとても感動的なのは、カールじいさんの辿ってきた人生、
彼が妻と過ごしてきた何十年という時間の経過を、10分に濃縮還元して見せてくれるからですね。
あと『パシフィック・リム』で、ローリーとヤンシーの兄弟が肩を並べてパイロットスーツを装着し
イェーガーに乗り込むまでのシーケンスもやたら感動します。
今まで何体も怪獣を倒してきた二人の自信と余裕が感じられるなぁとか、
周囲で忙しく立ち働く職員たちもこの任務を
日々の業務としてこなしているんだろうなぁかっこいいなぁとか、
そういうものが画面からひしひしと伝わってきてもうなんだか……!
話がそれました。閑話休題。
映画では時間の経過とともに物語が進行していきます。
ばらばらの順番で撮影したカットを、作中の時間軸のとおり並べ替え、編集し、
物語を構築していくんですね。
そしてこの「シーケンス」はデザインの現場でも大いに活用されています。
イメージをいくつも画面に配列することで、時間の経過を表現する技法です。
商品を紹介する際、もの単体をただポンと見せられても、
自分が実際その商品を使うとどうなるのか? という想像がつきにくかったりします。
そこでその商品、たとえばここでは時計とします。
時計とそれを身に着ける男性。
まだ仕事はじめの若い頃、
少し落ち着きの出てきた仕事盛り、
渋みの出てきた壮年期、
まだまだ元気な老年期……そんなイメージの写真をいくつも並べて、
時間の経過を見出させ、つまり物語を肉付けしていくのです。
物語が見えると、人は共感を覚えます。ただの商品だった時計に、意味が生まれます。
映画が、冒頭のシーケンスによってまず観客の興味をグッとつかむように、
デザインで人の心をつかむこともできるわけです。